私が仕えるお嬢様は乙女ゲームの悪役令嬢です
10 お嬢様との約束
「お嬢様、お聞きしてもよろしいですか?」
「なに?」
「お嬢様のご病気のことなのですが…」
少し躊躇ってから口を開いた。
「その…お命に関わるような…」
時々起こす発作。その度にお嬢様は離れに引きこもる。
その間、私は何も出来ず、ただ祈るしかできないことに、無力さを感じていた。
「ごめんなさい、コリンヌ、心配かけて」
「謝らないでください。責めているのではないのです」
「ありがとう。でも、私にもどうなるかまだよくわからないの。何しろ、まだ実験的な治療法で、今のところうまくいっているけど、この先もうまくいく保証がないの」
「そんな…」
原因も治療法もわからない病気だと言うのか。
しかし、ゲームではそんな設定はなかった。
奥様が亡くならず、妹君も生まれたことで、シナリオは改変されたと思った。
でも、そのせいで歪みが生まれたのだろうか。
「私にも何か出来ることはありませんか? 少しでもお力になれることがあれば」
「コリンヌは、こうやって私の側にいてくれればいい。コリンヌにまた会えると思って、辛い治療も頑張れるの」
そう言ってお嬢様は私に身を寄せてきた。
温かい体温が伝わってくる。静かな部屋の中で、トクントクンと心臓の音まで聞こえてくる。
「コリンヌ」
「何でしょう、お嬢様」
「どんな私でも、あなたは信じて側にいてくれる?」
それは悪役令嬢になっても。ということだろうか。
今のところお嬢様に悪役令嬢になる片鱗は見当たらない。
けれど、お嬢様がそのシナリオを知るはずはない。それとも、お嬢様も転生者なのだろうか。
「コリンヌは、どんなお嬢様でも信じてついていきます。でも、お嬢様も私のことを信じてくださいね」
もしお嬢様に悪役令嬢の影が見え隠れしたら、私は全力で止めるつもりだ。その時、私の言葉を真摯に受け止めてくれるといいのだけど。
「ありがとう、コリンヌ」
お嬢様は私を抱きしめながら眠りに落ちた。
私もそれから暫くして、すぐに深い眠りについた。
夜中、お嬢様が目を覚まして私の額にキスしたことを、私はまったく知らなかった。
「なに?」
「お嬢様のご病気のことなのですが…」
少し躊躇ってから口を開いた。
「その…お命に関わるような…」
時々起こす発作。その度にお嬢様は離れに引きこもる。
その間、私は何も出来ず、ただ祈るしかできないことに、無力さを感じていた。
「ごめんなさい、コリンヌ、心配かけて」
「謝らないでください。責めているのではないのです」
「ありがとう。でも、私にもどうなるかまだよくわからないの。何しろ、まだ実験的な治療法で、今のところうまくいっているけど、この先もうまくいく保証がないの」
「そんな…」
原因も治療法もわからない病気だと言うのか。
しかし、ゲームではそんな設定はなかった。
奥様が亡くならず、妹君も生まれたことで、シナリオは改変されたと思った。
でも、そのせいで歪みが生まれたのだろうか。
「私にも何か出来ることはありませんか? 少しでもお力になれることがあれば」
「コリンヌは、こうやって私の側にいてくれればいい。コリンヌにまた会えると思って、辛い治療も頑張れるの」
そう言ってお嬢様は私に身を寄せてきた。
温かい体温が伝わってくる。静かな部屋の中で、トクントクンと心臓の音まで聞こえてくる。
「コリンヌ」
「何でしょう、お嬢様」
「どんな私でも、あなたは信じて側にいてくれる?」
それは悪役令嬢になっても。ということだろうか。
今のところお嬢様に悪役令嬢になる片鱗は見当たらない。
けれど、お嬢様がそのシナリオを知るはずはない。それとも、お嬢様も転生者なのだろうか。
「コリンヌは、どんなお嬢様でも信じてついていきます。でも、お嬢様も私のことを信じてくださいね」
もしお嬢様に悪役令嬢の影が見え隠れしたら、私は全力で止めるつもりだ。その時、私の言葉を真摯に受け止めてくれるといいのだけど。
「ありがとう、コリンヌ」
お嬢様は私を抱きしめながら眠りに落ちた。
私もそれから暫くして、すぐに深い眠りについた。
夜中、お嬢様が目を覚まして私の額にキスしたことを、私はまったく知らなかった。