私が仕えるお嬢様は乙女ゲームの悪役令嬢です
17 悪役令嬢とヒロイン
お嬢様の病が治る。
「まだ予測だけど、後数年で治療の目処が立つそうよ、あ、え、コリンヌ?」
「よ、よがっだ…お、おじょ~ざま、よがっだです」
我知らず涙が溢れてきた。詳細はわからないが、お嬢様がもう発作に苦しむことがないのだと思うと、嬉しさに胸が熱くなった。
「ありがとう、コリンヌ、ずっと心配させてごめんなさい」
「わ、わだじば、いいんでず…グスン、グスン」
泣き出すと途中で止まらなくなるものだ。ひとしきり私は泣いて、その間ずっとお嬢様は私の頭や背中を撫でてくれた。
「だから、治るまでもう少し待っててね」
「はい、もちろんです」
何を待つというのかわからないが、お嬢様が殿下と結婚しないなら、王宮に行くこともない。
王宮にまでお嬢様について行けるのか不安だったが、ヒロインと王子の恋を取り持つなら断罪エンドもないだろうし、お嬢様とさこれからも一緒だと言うことだ。
「ふふ、ありがとう。言質は取ったからね。これからもず~っと私とあなたは一緒よ」
「お、お嬢様?」
何やらお嬢様の言い方に含みがある気がしたが、この時の私は特に気にも止めなかった。
「は、はじめまして、キャロラインです」
その後、密かに私は正式にヒロインと殿下に引き合わされた。
「キャロラインさん、こちらは私のコリンヌよ。これから殿下との連絡調整などは、彼女も協力してくれるわ」
「コリンヌです」
「よろしくお願いします。あなたがコリンヌさんですね。噂はご令嬢から聞いています」
ヒロインはやっぱりヒロインらしく、可愛かった。
「まあ、どんな噂でしょうか」
「ご令嬢のお気に入りだと伺っています」
「お気に…お、お嬢様、なんてことを」
「だって本当のことですもの。コリンヌは私の大切な人よ。一生守るって決めているもの」
きっとそれは私が奥様とビアンカ様の命を救ったことがあるからだろう。
「コリンヌ、これからよろしく」
「で、殿下、そんな滅相もございません」
「そんな畏まらなくていい。こちらはオーガストが私の代わりに色々動いてくれる」
「オーガストです。よろしく」
「こ、こちらこそ」
殿下もだが、間近にみると騎士団長の息子のオーガストさんもかなりのイケメンだ。
「オーガスト様、コリンヌは私のですから、手を出さないでくださいね」
二人のイケメンにときめいていると、後ろからお嬢様が私の手を引いて文句を言った。
「俺にも好みがある。それに人の物には手を出さないくらいの倫理観は持っている」
オーガスト様はもてる。
一番は殿下だろうけど、そこは偽装でもお嬢様という婚約者がいるから、表立ってアプローチする令嬢はいない。
今のところオーガスト様には婚約者がいないため、令嬢たちの人気を集めている。
「わかっているだろうが、私とアシュリー嬢の婚約のことやキャロラインのことは、ここにいる四人だけの秘密だ」
「わかりました」
「私が卒業するまでに、キャロラインは魔法の腕を上げ、アシュリー嬢から王子妃教育について学ぶ。私は父上に認められるよう、王子として実績を上げる」
王子の想いは本当らしく、今も生徒会会長として忙しくしている傍ら、政務にも関わっているそうだ。
「キャロライン、私は諦めない」
「フランシス様、私も頑張ります」
「殿下、私の方のこともよろしくお願いします」
二人の甘い空気を打ち破り、お嬢様が口を出す。
「わかっている。アシュリー嬢も、色々大変だろうがこれからもよろしく」
そうして四人の共闘の日々が始まった。
「まだ予測だけど、後数年で治療の目処が立つそうよ、あ、え、コリンヌ?」
「よ、よがっだ…お、おじょ~ざま、よがっだです」
我知らず涙が溢れてきた。詳細はわからないが、お嬢様がもう発作に苦しむことがないのだと思うと、嬉しさに胸が熱くなった。
「ありがとう、コリンヌ、ずっと心配させてごめんなさい」
「わ、わだじば、いいんでず…グスン、グスン」
泣き出すと途中で止まらなくなるものだ。ひとしきり私は泣いて、その間ずっとお嬢様は私の頭や背中を撫でてくれた。
「だから、治るまでもう少し待っててね」
「はい、もちろんです」
何を待つというのかわからないが、お嬢様が殿下と結婚しないなら、王宮に行くこともない。
王宮にまでお嬢様について行けるのか不安だったが、ヒロインと王子の恋を取り持つなら断罪エンドもないだろうし、お嬢様とさこれからも一緒だと言うことだ。
「ふふ、ありがとう。言質は取ったからね。これからもず~っと私とあなたは一緒よ」
「お、お嬢様?」
何やらお嬢様の言い方に含みがある気がしたが、この時の私は特に気にも止めなかった。
「は、はじめまして、キャロラインです」
その後、密かに私は正式にヒロインと殿下に引き合わされた。
「キャロラインさん、こちらは私のコリンヌよ。これから殿下との連絡調整などは、彼女も協力してくれるわ」
「コリンヌです」
「よろしくお願いします。あなたがコリンヌさんですね。噂はご令嬢から聞いています」
ヒロインはやっぱりヒロインらしく、可愛かった。
「まあ、どんな噂でしょうか」
「ご令嬢のお気に入りだと伺っています」
「お気に…お、お嬢様、なんてことを」
「だって本当のことですもの。コリンヌは私の大切な人よ。一生守るって決めているもの」
きっとそれは私が奥様とビアンカ様の命を救ったことがあるからだろう。
「コリンヌ、これからよろしく」
「で、殿下、そんな滅相もございません」
「そんな畏まらなくていい。こちらはオーガストが私の代わりに色々動いてくれる」
「オーガストです。よろしく」
「こ、こちらこそ」
殿下もだが、間近にみると騎士団長の息子のオーガストさんもかなりのイケメンだ。
「オーガスト様、コリンヌは私のですから、手を出さないでくださいね」
二人のイケメンにときめいていると、後ろからお嬢様が私の手を引いて文句を言った。
「俺にも好みがある。それに人の物には手を出さないくらいの倫理観は持っている」
オーガスト様はもてる。
一番は殿下だろうけど、そこは偽装でもお嬢様という婚約者がいるから、表立ってアプローチする令嬢はいない。
今のところオーガスト様には婚約者がいないため、令嬢たちの人気を集めている。
「わかっているだろうが、私とアシュリー嬢の婚約のことやキャロラインのことは、ここにいる四人だけの秘密だ」
「わかりました」
「私が卒業するまでに、キャロラインは魔法の腕を上げ、アシュリー嬢から王子妃教育について学ぶ。私は父上に認められるよう、王子として実績を上げる」
王子の想いは本当らしく、今も生徒会会長として忙しくしている傍ら、政務にも関わっているそうだ。
「キャロライン、私は諦めない」
「フランシス様、私も頑張ります」
「殿下、私の方のこともよろしくお願いします」
二人の甘い空気を打ち破り、お嬢様が口を出す。
「わかっている。アシュリー嬢も、色々大変だろうがこれからもよろしく」
そうして四人の共闘の日々が始まった。