【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「お前、いつも俺のあとをついてきやがって。一体、何なんだよ」

「私、シリィと、お友達になりたくて……」

「友達? そんなの、なれるわけねーだろうが」

 バッサリ言い切られて、私はますます悲しい気持ちになった。

「どうして……?」と尋ねる声が、か細く震える。

「お前が貴族で、俺が平民だからだ。今は良くても、どうせ大人になったら、お前は俺のことなんて――」

 シリィは苦しげな顔で口をつぐみ、私に背を向けた。
 

「俺は、貴族が嫌いだ。だからお前みたいなお姫様も――大嫌いだ」
 

 鋭利な言葉の刃が、私の心に突き刺さる。

 シリィは捨て台詞をいうと、私の方をろくに見ずにさっさと歩き出してしまった。

 
 私はその場にへたり込み、涙を堪えて引き下がる。


 …………ような子じゃなかった!


「私はっ」

 唇をかみしめ、溢れそうになる涙をぐっと堪えて顔をあげた。
 視線をまっすぐ正面に向けて、華奢な背中に狙いを定める。

 すぅぅぅっと息を吸い込んで――。
 
 
「私は、お姫様なんかじゃないもんっ!」

 
 腹の底から大声を張り上げた!!

 さすがのシリィも驚いた様子で振り返る。
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