【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
シリィは私を押しのけることもせず、芝生の上に大の字で倒れたまま、驚いた様子でこちらを見上げている。
「本当は甘いもの好きなのに我慢して年下の子にあげるところも、私が呼べば立ち止まってくれるところも、すごく、かっこいいって思ったの」
じわじわっとシリィの頬が赤くなる。明らかに戸惑い、狼狽える彼に構わず、私はしゃべり続けた。
「無口で、オトナで、意地悪だけど面倒見が良くて、優しい。そんなシリィだから、友達になりたかったの。でも嫌いって……私のこと、だいっきらいって」
大嫌いだという言葉を思い出した途端、胸が痛くなる。悲しみとともに涙が込み上げてきて、まずいと思ったときには、すでに両目からぽろぽろと雫がこぼれていた。
「え、エスター……」
「私っ、ここがすき! シスターも、みんなも、シリィのことも、だいすき。だから……だから……きらい、なんて、いわないでぇっ」
とうとう堪えきれず、私は泣いてしまった。
すぐさまシスターとうちの護衛が駆け寄ってくる。
護衛は私を立ち上がらせると、事情も聞かず「屋敷に戻りましょう」と強く手を引いた。私はとっさに「いや!」と抵抗する。
もしこのまま帰宅したら、二度とここに来られなくなってしまう。
必死に抗うものの、大人の力には叶わない。
もう無理なんだ……と諦めかけたその時、「――待って下さい!」という声が聞こえた。
「本当は甘いもの好きなのに我慢して年下の子にあげるところも、私が呼べば立ち止まってくれるところも、すごく、かっこいいって思ったの」
じわじわっとシリィの頬が赤くなる。明らかに戸惑い、狼狽える彼に構わず、私はしゃべり続けた。
「無口で、オトナで、意地悪だけど面倒見が良くて、優しい。そんなシリィだから、友達になりたかったの。でも嫌いって……私のこと、だいっきらいって」
大嫌いだという言葉を思い出した途端、胸が痛くなる。悲しみとともに涙が込み上げてきて、まずいと思ったときには、すでに両目からぽろぽろと雫がこぼれていた。
「え、エスター……」
「私っ、ここがすき! シスターも、みんなも、シリィのことも、だいすき。だから……だから……きらい、なんて、いわないでぇっ」
とうとう堪えきれず、私は泣いてしまった。
すぐさまシスターとうちの護衛が駆け寄ってくる。
護衛は私を立ち上がらせると、事情も聞かず「屋敷に戻りましょう」と強く手を引いた。私はとっさに「いや!」と抵抗する。
もしこのまま帰宅したら、二度とここに来られなくなってしまう。
必死に抗うものの、大人の力には叶わない。
もう無理なんだ……と諦めかけたその時、「――待って下さい!」という声が聞こえた。