【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「いつもお姉様だけ褒められて、贈り物も貰えて、ダニエルと結婚もできて! 異能使いって、そんなに偉いわけ? あんただけ幸せになるなんて許せない。要らないなら、ダニエルも、このネックレスも、全部、あたしに頂戴よ!」
私の胸ぐらをつかんで、ミーティアが暴れ回る。
強引にネックレスを引っ張られ、首がぐっと絞まった。
「痛いっ、やめて、ミーティア!」
とっさに振り払った私の手がミーティアに当たった。爪がかすり、彼女の頬や腕に傷が走る。
「痛いッ! 何すんのよ! ……許さない。あんたの全てを奪ってやるッ!!!」
逆上したミーティアがひときわ大きくわめいた瞬間、私達の間で白い火花が弾けた。
「何これ、まぶし――っ」
視界が閃光に塗りつぶされ、目がくらむ。
しばらくして、近付いてくる無数の足音と「大丈夫か!」という大人達の声が遠くから聞こえてきた。
「う……いまの、何……」
頭を振って数回まばたきすると、ようやく視力が戻ってくる。
さすがに怒るわよ――と言いかけて、私は言葉を失った。
「はは、あはは。うそ、信じられない。治せる。治せてる。やだ、あたし異能が使えてる。使えてるわ!!」
ミーティアが手をかざしたところから、彼女の顔や体にあった傷が、あっという間にふさがってゆく。
まさかと思い、私は擦りむいた自分の肘に手を当てて……愕然とした。
力が消えていた。いや正確には、ミーティアに奪われたという方が正しいのかもしれない……。
「そうよ。やっぱり、そうなんだわ。あたしが黒薔薇姫なのよ! やったぁ、やったわ!」
月の浮かぶ真夜中。大輪の黒薔薇があやしく咲き誇る庭園で、少女のはしゃいだ声が不気味にこだました。
私の胸ぐらをつかんで、ミーティアが暴れ回る。
強引にネックレスを引っ張られ、首がぐっと絞まった。
「痛いっ、やめて、ミーティア!」
とっさに振り払った私の手がミーティアに当たった。爪がかすり、彼女の頬や腕に傷が走る。
「痛いッ! 何すんのよ! ……許さない。あんたの全てを奪ってやるッ!!!」
逆上したミーティアがひときわ大きくわめいた瞬間、私達の間で白い火花が弾けた。
「何これ、まぶし――っ」
視界が閃光に塗りつぶされ、目がくらむ。
しばらくして、近付いてくる無数の足音と「大丈夫か!」という大人達の声が遠くから聞こえてきた。
「う……いまの、何……」
頭を振って数回まばたきすると、ようやく視力が戻ってくる。
さすがに怒るわよ――と言いかけて、私は言葉を失った。
「はは、あはは。うそ、信じられない。治せる。治せてる。やだ、あたし異能が使えてる。使えてるわ!!」
ミーティアが手をかざしたところから、彼女の顔や体にあった傷が、あっという間にふさがってゆく。
まさかと思い、私は擦りむいた自分の肘に手を当てて……愕然とした。
力が消えていた。いや正確には、ミーティアに奪われたという方が正しいのかもしれない……。
「そうよ。やっぱり、そうなんだわ。あたしが黒薔薇姫なのよ! やったぁ、やったわ!」
月の浮かぶ真夜中。大輪の黒薔薇があやしく咲き誇る庭園で、少女のはしゃいだ声が不気味にこだました。