【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「ご歓談中、失礼致します。メイナード兄上、公務にお戻り下さい」
「今日の仕事は終わりだ。許可なく聖女離宮に立ち入るとは、身の程をわきまえろ、シリウス」
「無礼をお許し下さい。ですが、何度使いを出しても、兄上が公務に戻らないと家臣に泣きつかれたため、致し方なく。急ぎ目を通して頂きたい嘆願書がございます。どうか、お戻りを」
「嘆願書? あんなもの、いちいち僕が見る必要はない」
「兄上」
「特にウォルス伯爵は、本当に煩わしい。何度も『円卓に戻してくれ』と言って、書面をよこしたり面会を求めてくる。まったく、迷惑なことだ」
家臣を貶める発言に、シリウスが眉をひそめる。
それを見たメイナードが、ミーティアの腰を抱きながらニヤリとした。
「そんなに嘆願書が気になるなら、お前が見てやるといい。あぁ、そうか。僕と違って、お前は陛下の代理印を使えないんだったな!忘れていたよ、はははっ!」
何がおかしいのか、メイナードがケラケラ笑う。
それに倣って、サロンに集っていた人々がさざ波のように笑い声を上げた。
メイナードがシリウスを毛嫌いしている事は知っていた。けれど、まさか公然と笑いものにするなんて……。
【黒薔薇姫】では麗しのプリンスとして描かれていた第一王子。しかし現実の彼は、出来の良い弟に嫉妬する、ただの残念王子にしか見えない。
「今日の仕事は終わりだ。許可なく聖女離宮に立ち入るとは、身の程をわきまえろ、シリウス」
「無礼をお許し下さい。ですが、何度使いを出しても、兄上が公務に戻らないと家臣に泣きつかれたため、致し方なく。急ぎ目を通して頂きたい嘆願書がございます。どうか、お戻りを」
「嘆願書? あんなもの、いちいち僕が見る必要はない」
「兄上」
「特にウォルス伯爵は、本当に煩わしい。何度も『円卓に戻してくれ』と言って、書面をよこしたり面会を求めてくる。まったく、迷惑なことだ」
家臣を貶める発言に、シリウスが眉をひそめる。
それを見たメイナードが、ミーティアの腰を抱きながらニヤリとした。
「そんなに嘆願書が気になるなら、お前が見てやるといい。あぁ、そうか。僕と違って、お前は陛下の代理印を使えないんだったな!忘れていたよ、はははっ!」
何がおかしいのか、メイナードがケラケラ笑う。
それに倣って、サロンに集っていた人々がさざ波のように笑い声を上げた。
メイナードがシリウスを毛嫌いしている事は知っていた。けれど、まさか公然と笑いものにするなんて……。
【黒薔薇姫】では麗しのプリンスとして描かれていた第一王子。しかし現実の彼は、出来の良い弟に嫉妬する、ただの残念王子にしか見えない。