【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「ここから近い賓客用の離宮に部屋を用意させる」
「私はここで十分です」
「ここのベッドは硬い。それに騎士団は男所帯だ。危険すぎる」
「えっ? 大丈夫で――」
「アデル」
静かな声で名を呼ばれ、言葉をさえぎられる。
「とにかく、ここは駄目だ。頼む、客間で眠ってくれ」
真剣な顔で切実に言われてしまい、私は素直に頷いた。
しかも今まで姿の見えなかったソニアが、シリウスの後ろからひょっこり顔を出し「殿下のあい……好意に甘えましょう」と言って、テキパキ準備を始める。
「ソニア、あなた今までどこにいたの?」
「一定の距離を保ち、闇に紛れて気配を消しておりました」
「なぜそんなことを!?」
「あらあら、お嬢様は賢いのに、そちらの方面はお子様……こほん、鈍感なのですね」
「ねぇ今、悪口いわなかった?」
「いえ?」
とぼけた顔をしたソニアは、さっさと荷物をまとめて、先に宿泊離宮へと行ってしまった。
去り際に私の耳元で、
「殿下とどうぞ、ごゆっくりお越し下さいませ。想いを伝えられるよう、願っております」
という囁きを残して。
「私はここで十分です」
「ここのベッドは硬い。それに騎士団は男所帯だ。危険すぎる」
「えっ? 大丈夫で――」
「アデル」
静かな声で名を呼ばれ、言葉をさえぎられる。
「とにかく、ここは駄目だ。頼む、客間で眠ってくれ」
真剣な顔で切実に言われてしまい、私は素直に頷いた。
しかも今まで姿の見えなかったソニアが、シリウスの後ろからひょっこり顔を出し「殿下のあい……好意に甘えましょう」と言って、テキパキ準備を始める。
「ソニア、あなた今までどこにいたの?」
「一定の距離を保ち、闇に紛れて気配を消しておりました」
「なぜそんなことを!?」
「あらあら、お嬢様は賢いのに、そちらの方面はお子様……こほん、鈍感なのですね」
「ねぇ今、悪口いわなかった?」
「いえ?」
とぼけた顔をしたソニアは、さっさと荷物をまとめて、先に宿泊離宮へと行ってしまった。
去り際に私の耳元で、
「殿下とどうぞ、ごゆっくりお越し下さいませ。想いを伝えられるよう、願っております」
という囁きを残して。