【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
気のせいかと思って目を閉じるが、音はやまない。小枝のような、何か小さな物が窓にぶつかる音がかすかに響く。
「んー、何なのいったい」
眠りを邪魔されてちょっとムッとする。立ち上がると足元がふらふらした。おまけに頭もふわふわする。
おぼつかない足取りで窓辺に近寄り、鍵をあけて窓を開け放つ。
ふわっと、金木犀の香りをともなって秋風が吹き込んでくる。
ひらりと紅葉が舞い込み、絨毯の上に落ちた。
「誰もいない?」
外から「アデル、少し離れてくれ」という声がした。――直後、窓枠に手をかけて、誰かがするりと部屋に入ってくる。長身の男。暗くて顔は分からない。
――賊? それとも不審者……!?
突然の出来事に、驚きすぎて声も出せない。慌てて後ろに下がったせいで、足がもつれてバランスを崩した。
『倒れるっ』と思った瞬間、目の前の彼に抱き留められた。ぐっと腰を引き寄せられる。
雲間から月光が差し、室内を青白い光で照らし出す。
男性の顔が鮮明になった。ふわりと揺れる銀髪、私を見つめる青い瞳。
まつげの長さが分かるほど近距離にある美貌に、どきりと心臓が高鳴った。
「シリウス、殿下……」
「んー、何なのいったい」
眠りを邪魔されてちょっとムッとする。立ち上がると足元がふらふらした。おまけに頭もふわふわする。
おぼつかない足取りで窓辺に近寄り、鍵をあけて窓を開け放つ。
ふわっと、金木犀の香りをともなって秋風が吹き込んでくる。
ひらりと紅葉が舞い込み、絨毯の上に落ちた。
「誰もいない?」
外から「アデル、少し離れてくれ」という声がした。――直後、窓枠に手をかけて、誰かがするりと部屋に入ってくる。長身の男。暗くて顔は分からない。
――賊? それとも不審者……!?
突然の出来事に、驚きすぎて声も出せない。慌てて後ろに下がったせいで、足がもつれてバランスを崩した。
『倒れるっ』と思った瞬間、目の前の彼に抱き留められた。ぐっと腰を引き寄せられる。
雲間から月光が差し、室内を青白い光で照らし出す。
男性の顔が鮮明になった。ふわりと揺れる銀髪、私を見つめる青い瞳。
まつげの長さが分かるほど近距離にある美貌に、どきりと心臓が高鳴った。
「シリウス、殿下……」