【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
シリウスは現在、視察もかねて、王都から少し離れた地方領にいるらしい。
『郷土料理が美味しかったから、アデルにも食べさせたい。こちらは温かいが、王都は寒いだろう? 風邪を引いていないか心配だ』
『早く会いたい。愛してる』
綴られる愛の言葉。注がれる沢山の愛情に、心がほっこり温かくなった。
普段は無口なくせに、手紙では饒舌なのも愛おしい。
(ギャップ萌えが過ぎるわよ、シリウス)
なんて思いつつ、私は返事をしたためた。
(私も彼の隣に並び立てるよう頑張らなきゃ)
求婚への返事は、まだしていなかった。
シリウスのことは愛している。生涯を共にしたいとも思っている。けれど、彼と結婚すれば、私はこの国の王室に入らざるを得ない。
――不安は山積みだ。
私の正体は、世間で『罪人』とされているエスター。もしバレたら、シリウスに多大な迷惑をかけてしまう。
そもそも今の私は商家の娘。爵位のない平民との婚姻を、国王陛下や円卓会議の面々が許すとは到底思えなかった。
私の不安を、シリウスはひとつひとつ、真剣に聞いてくれた。そして全てを聞き終えたあと、彼は言った。
『分かった。全て解決したあと、改めて求婚する』――と。
『郷土料理が美味しかったから、アデルにも食べさせたい。こちらは温かいが、王都は寒いだろう? 風邪を引いていないか心配だ』
『早く会いたい。愛してる』
綴られる愛の言葉。注がれる沢山の愛情に、心がほっこり温かくなった。
普段は無口なくせに、手紙では饒舌なのも愛おしい。
(ギャップ萌えが過ぎるわよ、シリウス)
なんて思いつつ、私は返事をしたためた。
(私も彼の隣に並び立てるよう頑張らなきゃ)
求婚への返事は、まだしていなかった。
シリウスのことは愛している。生涯を共にしたいとも思っている。けれど、彼と結婚すれば、私はこの国の王室に入らざるを得ない。
――不安は山積みだ。
私の正体は、世間で『罪人』とされているエスター。もしバレたら、シリウスに多大な迷惑をかけてしまう。
そもそも今の私は商家の娘。爵位のない平民との婚姻を、国王陛下や円卓会議の面々が許すとは到底思えなかった。
私の不安を、シリウスはひとつひとつ、真剣に聞いてくれた。そして全てを聞き終えたあと、彼は言った。
『分かった。全て解決したあと、改めて求婚する』――と。