【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
部屋を出ると、いつも私を監視している護衛が一人もいなかった。
希少な異能力者は、人身売買の標的にされやすい。だから私は、幼い頃から不自由をしいられてきた。どこへ行くにも送迎馬車と監視付き。何をするにも護衛役がつきまとっていたのに。
守る価値がなくなったとたん、この扱い。
もはや落ち込むより、呆れて笑ってしまう。
「ひとりで外出するのは何年ぶりかしら」
護衛という名の監視役がいないと、こうも身軽なのかと、私は驚いた。
(今まで出来なかったこと、全部できるんだわ! 何をしよう? どこへ行こう?)
そう思った瞬間、やりたいことが一気に浮かんできた。
(私、すごくワクワクしてるわ!)
異能がない自由な生活に、ずっと憧れてきた。
その夢が、今まさに叶っている。
晴れやかな気持ちで、私は屋敷を飛び出した。
御者に行き先を告げて、馬車に乗り込む。
軽快なひづめの音を響かせて、馬が颯爽と走り出す。
私は自由な旅の一歩を踏み出した。
◇
目的地は、高級住宅街に建つ豪邸。
屋敷の一室に入ると、ベッドに横たわっていた美少女が、ぱあっと瞳を輝かせて「エスター!来てくれたのね!」と喜んだ。
「こんにちは、アデル。しばらく来られなくてごめんね。体調はどう?」
「今日はすごく元気なの。それにエスターが遊びに来てくれたから、もっと元気になったわ!」
目の前の彼女――私の親友、アデル・シレーネは、天使のような美しい顔に無邪気な笑みを浮かべ、「今日はどんなお話をする?」と瞳を輝かせた。
希少な異能力者は、人身売買の標的にされやすい。だから私は、幼い頃から不自由をしいられてきた。どこへ行くにも送迎馬車と監視付き。何をするにも護衛役がつきまとっていたのに。
守る価値がなくなったとたん、この扱い。
もはや落ち込むより、呆れて笑ってしまう。
「ひとりで外出するのは何年ぶりかしら」
護衛という名の監視役がいないと、こうも身軽なのかと、私は驚いた。
(今まで出来なかったこと、全部できるんだわ! 何をしよう? どこへ行こう?)
そう思った瞬間、やりたいことが一気に浮かんできた。
(私、すごくワクワクしてるわ!)
異能がない自由な生活に、ずっと憧れてきた。
その夢が、今まさに叶っている。
晴れやかな気持ちで、私は屋敷を飛び出した。
御者に行き先を告げて、馬車に乗り込む。
軽快なひづめの音を響かせて、馬が颯爽と走り出す。
私は自由な旅の一歩を踏み出した。
◇
目的地は、高級住宅街に建つ豪邸。
屋敷の一室に入ると、ベッドに横たわっていた美少女が、ぱあっと瞳を輝かせて「エスター!来てくれたのね!」と喜んだ。
「こんにちは、アデル。しばらく来られなくてごめんね。体調はどう?」
「今日はすごく元気なの。それにエスターが遊びに来てくれたから、もっと元気になったわ!」
目の前の彼女――私の親友、アデル・シレーネは、天使のような美しい顔に無邪気な笑みを浮かべ、「今日はどんなお話をする?」と瞳を輝かせた。