【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「あぁ、ミーティア。どうしたんだい?」
部屋中に充満するツンとした酒の匂い。
真っ昼間にもかかわらず、メイナードは寝台に転がり酒をあおっていた。
シリウスを落とせない以上、あたしが王妃になるには、この男を上手く利用しなきゃいけない。けれど、正攻法でこのボンクラ王子が王位継承するのは不可能に近い。
「メイナード殿下、公務はどうされたんですの?」
「ああ、もう諦めたよ。シリウスには勝てない。どんなに頑張ったって、僕が王になるのは無理だ」
能力もなければやる気もないメイナードは、へらへら笑いながら再び酒を食らう。
むせたのか、それとも再発した持病のせいか、ゴホゴホと苦しげに咳き込んだ。
見放したい気持ちをぐっと堪えて、あたしは彼の体に手をかざす。
こんな飲んだくれへの愛情はとうにないけれど、今死なれたら困る。
「殿下、お体を大事になさってください」
「ミーティア……君だけは、僕のそばに居てくれるんだね。王にもなれない、こんな僕のそばに」
みっともなく泣き始める男の頭を撫でながら、あたしは「諦めるのはまだ早いですわ」と告げた。メイナードが顔を上げる。
「わたくしに良い考えがありますの。あなたを絶対に、王にしてさしあげますわ」
部屋中に充満するツンとした酒の匂い。
真っ昼間にもかかわらず、メイナードは寝台に転がり酒をあおっていた。
シリウスを落とせない以上、あたしが王妃になるには、この男を上手く利用しなきゃいけない。けれど、正攻法でこのボンクラ王子が王位継承するのは不可能に近い。
「メイナード殿下、公務はどうされたんですの?」
「ああ、もう諦めたよ。シリウスには勝てない。どんなに頑張ったって、僕が王になるのは無理だ」
能力もなければやる気もないメイナードは、へらへら笑いながら再び酒を食らう。
むせたのか、それとも再発した持病のせいか、ゴホゴホと苦しげに咳き込んだ。
見放したい気持ちをぐっと堪えて、あたしは彼の体に手をかざす。
こんな飲んだくれへの愛情はとうにないけれど、今死なれたら困る。
「殿下、お体を大事になさってください」
「ミーティア……君だけは、僕のそばに居てくれるんだね。王にもなれない、こんな僕のそばに」
みっともなく泣き始める男の頭を撫でながら、あたしは「諦めるのはまだ早いですわ」と告げた。メイナードが顔を上げる。
「わたくしに良い考えがありますの。あなたを絶対に、王にしてさしあげますわ」