【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「だからシリウスを暗殺しなさい。あの男の弱点は、アデル・シレーネ。女を誘拐しておびき出し、シリウスを一刻も早く亡き者にして。王位継承者の選定日までによろしくね」
一息でまくしたてる。ダニエルは困惑顔で固まっていた。
「何よ。出来ないの? シリウスが王座につけば、カルミア侯爵家はお取り潰し。あんたも、あんたの一族も破滅するのよ」
「それは、そうですが……」
「やるの? やらないの?」
ダニエルは少し思案したのち「やります」と頷いた。
しかし続けざまに「ただし――」と口を開く。
「一つ条件がございます。シリウス殿下を亡き者にし、メイナード殿下が即位した暁には、我が家を宰相の位につけてくださいませ」
「宰相? ははっ、円卓を追い出されたのに、まだ権力にしがみつくのね。いいわよ」
「ありがたき幸せ。では……万が一のために、念書を書いて頂きたい。後日約束を反故にされては、俺も困りますので」
面倒だったが、書面ひとつで王座が手に入るのなら安いもの。
あたしはダニエルが差し出した紙にサインした。
一息でまくしたてる。ダニエルは困惑顔で固まっていた。
「何よ。出来ないの? シリウスが王座につけば、カルミア侯爵家はお取り潰し。あんたも、あんたの一族も破滅するのよ」
「それは、そうですが……」
「やるの? やらないの?」
ダニエルは少し思案したのち「やります」と頷いた。
しかし続けざまに「ただし――」と口を開く。
「一つ条件がございます。シリウス殿下を亡き者にし、メイナード殿下が即位した暁には、我が家を宰相の位につけてくださいませ」
「宰相? ははっ、円卓を追い出されたのに、まだ権力にしがみつくのね。いいわよ」
「ありがたき幸せ。では……万が一のために、念書を書いて頂きたい。後日約束を反故にされては、俺も困りますので」
面倒だったが、書面ひとつで王座が手に入るのなら安いもの。
あたしはダニエルが差し出した紙にサインした。