【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
先程まであらわにしていた苛立ち、憎しみ、怒りが、一気に顔から抜け落ちる。
能面のような青白い無表情。瞳孔の開ききった目。紫色に変色した唇。
手足からは力が抜けて、柳の下の亡霊みたいに、ゆらり、ゆらりと体が揺れている。
「化物……? ちがう」
ぽつりと、呟いた。
「あたしは、黒薔薇のヒロインなの」
その一言で、ミーティアが私と同じ転生者なのかもしれないと気付いた。
「あたしは……王子様と結婚して幸せになるんだ。だからこんなの、おかしい。シナリオと違う!」
虚空を見つめながら、カクッと首をかしげる。
「ああ、まずエスターがおかしかった。あたしを虐めるはずなのに、無駄に良い子で。あいつのせいで、あたしは痛い思いをして自作自演する羽目になった!」
きゃははははは!と、狂ったようにミーティアが笑う。
あまりの恐ろしさに、貴族らが逃げ場を求めて出口へ後ずさる。
近衛兵が陛下を守るように、さっと前へ出る。シリウスが背後にいる部下へ「あの女を捕らえろ」と命じた。
騎士が一斉に剣や盾を構え、ミーティア確保に向けて動き出した。
能面のような青白い無表情。瞳孔の開ききった目。紫色に変色した唇。
手足からは力が抜けて、柳の下の亡霊みたいに、ゆらり、ゆらりと体が揺れている。
「化物……? ちがう」
ぽつりと、呟いた。
「あたしは、黒薔薇のヒロインなの」
その一言で、ミーティアが私と同じ転生者なのかもしれないと気付いた。
「あたしは……王子様と結婚して幸せになるんだ。だからこんなの、おかしい。シナリオと違う!」
虚空を見つめながら、カクッと首をかしげる。
「ああ、まずエスターがおかしかった。あたしを虐めるはずなのに、無駄に良い子で。あいつのせいで、あたしは痛い思いをして自作自演する羽目になった!」
きゃははははは!と、狂ったようにミーティアが笑う。
あまりの恐ろしさに、貴族らが逃げ場を求めて出口へ後ずさる。
近衛兵が陛下を守るように、さっと前へ出る。シリウスが背後にいる部下へ「あの女を捕らえろ」と命じた。
騎士が一斉に剣や盾を構え、ミーティア確保に向けて動き出した。