【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
すれ違い、閉ざされた未来
屋敷をあとにした私は、シレーネ商会系列の宝石店で、ダニエルから贈られたネックレスを売り飛ばした。
そのお金を持って、昔から慰問に通っている教会孤児院へ向かう。
売却代金を全て寄付すると、顔なじみのシスター・クラーラが「この大金は、どうしたんです!?」と驚きに目を見張った。
「運営費の足しにして。そうしてくれたら、私の心も軽くなるから」
「ですが……こんな大金……。エスター、何かあったんですか?」
心配そうな顔をするシスターに、私はにっこり笑った。
「私は大丈夫よ。それじゃあ、夕食までみんなとお勉強してるわね!」
そう言って、私は教会の隣にある孤児院へ入る。扉を開けた瞬間、子ども達が「エスターだ~!」と言って駆け寄ってきた。
ここにいるのは、異能がないため親に捨てられてしまった子がほとんどだ。
アストレア国は『異能大国』と呼ばれるだけあって、異能持ちが優遇される。
反面、力を持たない一般人を虐げる風潮が強く、異能のない子供を捨てる親が後を絶たない。
どの教会も孤児で溢れているのが現状だ。
もともと異能を持たない者、加齢や病気で力を失った者は、みなこの国で苦労している。
力を失った私もこの先、きっと苦労することになるだろう。
それでも、負けないわ!と自らを奮い立たせる。
娘を道具として扱う両親と、欲しがり屋な妹。強欲な家族に搾取される日々より、自立して働いて、子ども達に読み書きを教える人生のほうが、きっと幸せだ。
そのお金を持って、昔から慰問に通っている教会孤児院へ向かう。
売却代金を全て寄付すると、顔なじみのシスター・クラーラが「この大金は、どうしたんです!?」と驚きに目を見張った。
「運営費の足しにして。そうしてくれたら、私の心も軽くなるから」
「ですが……こんな大金……。エスター、何かあったんですか?」
心配そうな顔をするシスターに、私はにっこり笑った。
「私は大丈夫よ。それじゃあ、夕食までみんなとお勉強してるわね!」
そう言って、私は教会の隣にある孤児院へ入る。扉を開けた瞬間、子ども達が「エスターだ~!」と言って駆け寄ってきた。
ここにいるのは、異能がないため親に捨てられてしまった子がほとんどだ。
アストレア国は『異能大国』と呼ばれるだけあって、異能持ちが優遇される。
反面、力を持たない一般人を虐げる風潮が強く、異能のない子供を捨てる親が後を絶たない。
どの教会も孤児で溢れているのが現状だ。
もともと異能を持たない者、加齢や病気で力を失った者は、みなこの国で苦労している。
力を失った私もこの先、きっと苦労することになるだろう。
それでも、負けないわ!と自らを奮い立たせる。
娘を道具として扱う両親と、欲しがり屋な妹。強欲な家族に搾取される日々より、自立して働いて、子ども達に読み書きを教える人生のほうが、きっと幸せだ。