【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
私はとっさに「ちがうの!」と叫んだ。
「私じゃない!ミーティアが急に自分で――」
私の言葉を遮って、父が使用人に命じた。
「エスターを地下室へ閉じ込めろ。絶対に出すな」
泣きながら懇願するものの、もはやこの場に、私の無実を信じる者はいなかった。
あまりに突然の出来事に、心が、体が、思考が追いつかない。
(なんで……? どうして、こんなことに……)
屈強な男達が、私の両腕をつかんで拘束する。
その時、ミーティアが「まって……」と、か細い声で言った。
私は我に返り、はっと顔を上げる。
「ミーティア……、お願い、私の無実を証明して! お願いよ」
涙を流してすがる私に、妹はふんわり笑って――。
「お姉様……妹を殺めようとするなんて、酷いひと」
奈落の底に突き落とした。
「何を、言ってるの」
「わたくしがお姉様の力と婚約者を奪ってしまったから……憎かったのよね?」
唖然とする私の目の前で、ミーティアは聖母のごとく清らかな笑みを浮かべた。
「お姉様、わたくしはあなたを許します」
この場において『許す』という言葉は、私の有罪を印象づける決定打だった。