【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
 あたしは鼻歌を歌いながら、再びクローゼットをあさりドレスを選ぶ。色はあえて地味に。飾りも少ない喪服にしましょう。

主人公(あたし)のハッピーエンドを妨げる奴は、みーんな悪。悪者にはむごたらしい勧善懲悪(ざまぁ)が必要なの。『前世(ゆめ)』でもそういう展開が大流行だったもの」
 

 物心ついた頃から、くり返し見る夢があった。

 夢の中のあたしは、両親に甘やかされて育った裕福な家の娘。

 小中高大とエスカレーター式の学校に入り、軽い面接だけで叔父の企業に入社。まわりが「受験が」「就活が」と焦るなか、あたしだけ常に人生イージーモード。

 正直、周りの友達が憐れで仕方なかった。
 
『もっと徳を積んで、来世では裕福な家に生まれるといいわね』と、いつも見下していたものだ。
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