【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
……が、最悪なことに、台風のせいで渋滞にはまってしまい、かれこれ一時間以上車内に閉じ込められている。
マジ最悪なんだけど。舌打ちしながら、お気に入りの小説【黒薔薇姫】を読み返す。
(やっぱ最高。あたしもチート能力持ちの聖女になって、王子に溺愛されたーい! うちの会社、きったないオヤジばっかで最悪だからイケメンハーレムとか最高!……にしても、全然家に着かないわね。
「ねぇ、今何時?」
「もうすぐ21時になります」
「はぁ、まだ着かないの?」
イライラして運転席の背もたれを蹴ると、お抱え運転手が「申し訳ございません」と謝った。
「ここ、家のすぐそばじゃない。もういい、歩いて帰る」
「お嬢様、危ないですよ!」という運転手の忠告を無視して車外へ出る。
歩きスマホをしながら家に向かっていると、急に視界が真っ白になって……。
そこでいつも目が覚める。
たぶん夢の中のあたしは車にはねられて死んだ。
いや、あれは夢じゃない。きっと前世だ。
あたしは、大好きな小説世界の住人に転生したのだ。
これは、若くして死んじゃったあたしに、神様がくれたご褒美!
ここは、あたしのための世界!
だって【黒薔薇姫】は、主人公ミーティアが幸せになるための物語なんだもの。
……なのに『あの女』のせいで、あたしの人生はずっと最悪だった。
マジ最悪なんだけど。舌打ちしながら、お気に入りの小説【黒薔薇姫】を読み返す。
(やっぱ最高。あたしもチート能力持ちの聖女になって、王子に溺愛されたーい! うちの会社、きったないオヤジばっかで最悪だからイケメンハーレムとか最高!……にしても、全然家に着かないわね。
「ねぇ、今何時?」
「もうすぐ21時になります」
「はぁ、まだ着かないの?」
イライラして運転席の背もたれを蹴ると、お抱え運転手が「申し訳ございません」と謝った。
「ここ、家のすぐそばじゃない。もういい、歩いて帰る」
「お嬢様、危ないですよ!」という運転手の忠告を無視して車外へ出る。
歩きスマホをしながら家に向かっていると、急に視界が真っ白になって……。
そこでいつも目が覚める。
たぶん夢の中のあたしは車にはねられて死んだ。
いや、あれは夢じゃない。きっと前世だ。
あたしは、大好きな小説世界の住人に転生したのだ。
これは、若くして死んじゃったあたしに、神様がくれたご褒美!
ここは、あたしのための世界!
だって【黒薔薇姫】は、主人公ミーティアが幸せになるための物語なんだもの。
……なのに『あの女』のせいで、あたしの人生はずっと最悪だった。