【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「――っ」
一瞬息が止まるほど驚いた。誰もが『エスターは悪』と決めつける世の中で、まさかそんなことを言われるとは。
「エスターは優しい女性だった。足繁く孤児院に通い、多くの人の支えになろうと奮闘する姿からも、それは明らかだ。『異能持ちになった妹への嫉妬で狂った』などという理由で罪を犯すとは、考えられない」
「ええ……そう、ですわね」
エスターが追放されたとき、シリウスは王都を離れ、辺境で長期任務についていたらしい。
睨み合いが続いていた西方との紛争を解決し、王都に帰還したのが数日前。そこでようやくエスターの訃報を知り、驚いたという。
「何もかも、手遅れだった」
シリウスは端正な顔を歪め、拳をきつく握りしめる。
「一番肝心なときに、守ってやれなかった」
その言葉に、血を吐くような苦しげな声に、泣き出しそうなほど沈痛な面もちに、私は混乱してしまう。
どうして? なぜ? 疑問ばかりが頭の中をぐるぐる巡る。
「事件について知っていることはないか。彼女の死の真相を知りたいんだ」
「私、は――」
シリウスに問い詰められ、私は口ごもる。
――このまま、全て話してしまおうか?
一瞬息が止まるほど驚いた。誰もが『エスターは悪』と決めつける世の中で、まさかそんなことを言われるとは。
「エスターは優しい女性だった。足繁く孤児院に通い、多くの人の支えになろうと奮闘する姿からも、それは明らかだ。『異能持ちになった妹への嫉妬で狂った』などという理由で罪を犯すとは、考えられない」
「ええ……そう、ですわね」
エスターが追放されたとき、シリウスは王都を離れ、辺境で長期任務についていたらしい。
睨み合いが続いていた西方との紛争を解決し、王都に帰還したのが数日前。そこでようやくエスターの訃報を知り、驚いたという。
「何もかも、手遅れだった」
シリウスは端正な顔を歪め、拳をきつく握りしめる。
「一番肝心なときに、守ってやれなかった」
その言葉に、血を吐くような苦しげな声に、泣き出しそうなほど沈痛な面もちに、私は混乱してしまう。
どうして? なぜ? 疑問ばかりが頭の中をぐるぐる巡る。
「事件について知っていることはないか。彼女の死の真相を知りたいんだ」
「私、は――」
シリウスに問い詰められ、私は口ごもる。
――このまま、全て話してしまおうか?