【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
過去を悔やむ男(ダニエル)
月の冴えわたる夜。
アストレア宮殿では王家主催の舞踏会が開かれていた。
国内の貴族や資産家が集まる、それはそれは豪華な宴だ。
場が温まった頃、壇上に現れたメイナードが高らかに告げた。
「この場で皆に告げよう。私――メイナード・イヴァン・アストレアは、『聖女』ミーティア・ロザノワールを未来の伴侶に迎えると、ここに宣言する!」
第一王子の突然の婚約発表に、会場は拍手と歓声に包まれた。
殿下の隣にならび立つミーティアは、微笑を浮かべて民衆に手を振っている。その姿は、まるで『聖女』に相応しい清らかさ。
だが、俺――ダニエル・カルミアは、あいつが純真無垢な女じゃないと知っている。
(ハッ、姉から異能を奪った女が『聖女』ねぇ)
一時期、俺とミーティアの間には縁談が持ち上がっていた。
我が儘な性格は面倒くさいが、あいつの異能には色々と使い道がある。それに容姿も悪くない。
父から「必ずミーティア・ロザノワールをものにしろ」と命じられた俺は、あのワガママ女の機嫌を取り、結婚しようとした。
……が、失敗した。
メイナードに横取りされたのだ。
アストレア宮殿では王家主催の舞踏会が開かれていた。
国内の貴族や資産家が集まる、それはそれは豪華な宴だ。
場が温まった頃、壇上に現れたメイナードが高らかに告げた。
「この場で皆に告げよう。私――メイナード・イヴァン・アストレアは、『聖女』ミーティア・ロザノワールを未来の伴侶に迎えると、ここに宣言する!」
第一王子の突然の婚約発表に、会場は拍手と歓声に包まれた。
殿下の隣にならび立つミーティアは、微笑を浮かべて民衆に手を振っている。その姿は、まるで『聖女』に相応しい清らかさ。
だが、俺――ダニエル・カルミアは、あいつが純真無垢な女じゃないと知っている。
(ハッ、姉から異能を奪った女が『聖女』ねぇ)
一時期、俺とミーティアの間には縁談が持ち上がっていた。
我が儘な性格は面倒くさいが、あいつの異能には色々と使い道がある。それに容姿も悪くない。
父から「必ずミーティア・ロザノワールをものにしろ」と命じられた俺は、あのワガママ女の機嫌を取り、結婚しようとした。
……が、失敗した。
メイナードに横取りされたのだ。