【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
未来を切り開く決意
翌日、うららかな春の陽気を感じながら、私はシレーネ夫妻とテラスでお茶の時間を楽しんでいた。
カップを置いたシレーネ様が、真剣な顔で言った。
「アデル。最近、忙しすぎないか?」
「そうよ。倒れてしまわないか心配だわ」
「心配……?」
産まれてこの方、実の両親にも心配されたことのない私は、馴染みのない言葉に戸惑う。
思わず「心配をおかけして、すみません」と他人行儀に謝ってしまった。
シレーネ夫妻は顔を見合わせると、慈愛に満ちた眼差しを私に注いだ。
「謝る必要なんてないのよ。ただ、私達は親だから、どうしたって心配になっちゃうの」
妻の言葉に頷き、シレーネ様は周囲の使用人には聞こえないよう、小さな声で言った。
「エスター。血は繋がっていなくても、我々はもう君の親だ。勿論、今でもアデルのことを愛している。だが、君をアデルの代わりだと思ったことは一度もないよ」
「主人の言う通りよ。私たちは家族なんだから、甘えたり、頼ったりして頂戴!」
愛情のこもった言葉に、胸が熱くなる。
(これが、家族の温もりなんだ……)
私は喜びを噛みしめて「――はい!」と頷いた。
カップを置いたシレーネ様が、真剣な顔で言った。
「アデル。最近、忙しすぎないか?」
「そうよ。倒れてしまわないか心配だわ」
「心配……?」
産まれてこの方、実の両親にも心配されたことのない私は、馴染みのない言葉に戸惑う。
思わず「心配をおかけして、すみません」と他人行儀に謝ってしまった。
シレーネ夫妻は顔を見合わせると、慈愛に満ちた眼差しを私に注いだ。
「謝る必要なんてないのよ。ただ、私達は親だから、どうしたって心配になっちゃうの」
妻の言葉に頷き、シレーネ様は周囲の使用人には聞こえないよう、小さな声で言った。
「エスター。血は繋がっていなくても、我々はもう君の親だ。勿論、今でもアデルのことを愛している。だが、君をアデルの代わりだと思ったことは一度もないよ」
「主人の言う通りよ。私たちは家族なんだから、甘えたり、頼ったりして頂戴!」
愛情のこもった言葉に、胸が熱くなる。
(これが、家族の温もりなんだ……)
私は喜びを噛みしめて「――はい!」と頷いた。