わたしのスパダリな婚約者〜番外編〜
思わず遠い目になってしまったわたしを他所にさらに盛り上がる周りの様子に正直なところもう勘弁して欲しいと縋りつきたい。実際はいくら身内のお茶会だからといってそんなはしたない真似はできないけれど。
火照った頬を冷ますように手を当てながら婚約者が話してくれたことにそんなこともあったなとわたしも過去を思い返す。
「その、覚えていてくれたことは嬉しいのですが、そんなに深く考えたわけではないので…」
クリス様の思い出話を聞くのは懐かしいし嬉しいのだが、何せわたしとの記憶との乖離が……何倍も美化されているので聞いていてとてもいたたまれない。
なんとも言えない居心地の悪さに眉を下げると向けられる3人の視線にますます肩を竦める。あの、何故そんなに見つめられるのでしょうか……?
かと思えばクリス様はため息を溢しているしメルティ様はニコニコしているしシエタは仕様がないと言わんばかりに苦笑している。何故そんな反応なのか。
「幼い時からリーレはこうなんですもの。筋金入りですから気づけという方がもう無理な話ですわよ」
「………???」
「ふふ、わたくしにとってあなたは自慢の従姉妹だということですわ!」