ビールで乾杯
「真理、誕生日どっか行きたい所ある?」
デートの帰りだった。
佑都がそんなことを聞いてくるのは珍しい。俺様気質とまではいかないが、どちらかといえば「俺に着いてこい」タイプの男だからだ。
デートコースも大抵佑都が決める。真理自身それを不満に思ったことはなかったし、真理が優柔不断という訳でもない。佑都に任せておけば間違いないと思っていたし、そうすることで、佑都の気持ちが満たされることも真理はわかっていた。
毎年誕生日は、佑都が予約する素敵なレストランで食事をする。そして、佑都のサプライズ演出に毎回驚かされた。
だが、今の真理にはそれを素直に喜べる程の心の余裕はなかった。いっそのこと酒でも飲んで、腹を割って話したい気分だった。それほどに、切羽詰まっていた。
「たまには電車で出掛けようよ。佑君も飲みたいでしょ?」
「いや、俺は別に構わねえよ。お前の誕生日なんだからそんなこと気にすんな」
人混みが嫌いで電車があまり好きではない佑都とのデートは、いつも車移動だった。毎回自宅まで迎えに来てくれ、送り届けてくれる。真理からすれば有難いことだったが、当然運転がある佑都とは食事に行っても一緒に飲むことが出来ない。
「一緒に映画観た後、いつもみたいなワインが似合うお洒落な店じゃなくて、個室のある居酒屋で、佑君とビールで乾杯したい」
その提案が意外だったのか、佑都は一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに頷き「お前がそうしたいんなら」と口元を緩めた。
デートの帰りだった。
佑都がそんなことを聞いてくるのは珍しい。俺様気質とまではいかないが、どちらかといえば「俺に着いてこい」タイプの男だからだ。
デートコースも大抵佑都が決める。真理自身それを不満に思ったことはなかったし、真理が優柔不断という訳でもない。佑都に任せておけば間違いないと思っていたし、そうすることで、佑都の気持ちが満たされることも真理はわかっていた。
毎年誕生日は、佑都が予約する素敵なレストランで食事をする。そして、佑都のサプライズ演出に毎回驚かされた。
だが、今の真理にはそれを素直に喜べる程の心の余裕はなかった。いっそのこと酒でも飲んで、腹を割って話したい気分だった。それほどに、切羽詰まっていた。
「たまには電車で出掛けようよ。佑君も飲みたいでしょ?」
「いや、俺は別に構わねえよ。お前の誕生日なんだからそんなこと気にすんな」
人混みが嫌いで電車があまり好きではない佑都とのデートは、いつも車移動だった。毎回自宅まで迎えに来てくれ、送り届けてくれる。真理からすれば有難いことだったが、当然運転がある佑都とは食事に行っても一緒に飲むことが出来ない。
「一緒に映画観た後、いつもみたいなワインが似合うお洒落な店じゃなくて、個室のある居酒屋で、佑君とビールで乾杯したい」
その提案が意外だったのか、佑都は一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに頷き「お前がそうしたいんなら」と口元を緩めた。