抗えない運命
翠人side
18×2/10/×× 雷雨
「最近みんな変だよね…」
奏大がぬいぐるみを抱きながら言う。
薄暗い屋根裏部屋に僕と奏大は居た。
「伊月はよく鼻血を出すようになったし、
蓮くんと誠哉くんは最近体調が悪そうだ。
光汰君のもこの前手から火がでてたし…
まだ変になってないのは翠人くんと僕だけだね。」
「…変じゃないのは奏大だけだよ。
どうやら僕も変になっちゃったみたいだ。」
僕の最近の喉の乾きは
水を飲むだけでは満たされなかった
転んだ宏樹や伊月の血が
とてもいい匂いで
ものすごく惹き付けられてしまう。
もう人間ではなくなったと思った。
今だってそう。
隣にいる奏大に噛み付いてしまいたい。
「翠人くん…
僕は今ものすごく君の首に
噛みつきたいんだ。
こんな僕は変じゃない?」
少し怯えた、でも潤いを
欲する瞳を見て
僕は己の首を差し出した。
「もうみんな変になっちゃったんだね…」