抗えない運命
伊月side
18×2/5/×× 晴れ
「光汰っ!!」
普段通りの平穏な日だった。
地下室から
翠人くんが光汰くんの名前を呼ぶ
大きな声が聞こえてくるまでは。
食堂にいた宏樹と奏大くんも
翠人くんの声を聞き、飛び出してきた。
いつもふざけあっている時の
戯れる声では無い事に胸がざわついた。
「一体何が起こったんですか…。」
地下室の天窓から差し込む光は
舞台の上のスポットライトみたいに輝いていた。
光汰くんはキラキラと輝く光の下で
燃え盛る自らの右手を
呆然と眺めているだけだった。
何故置いてあるのか
用途の分からない異質なバスタブに
腰掛けた光汰くんは到底
僕たちと同じ人間とは思えなかった。
その事件以降、日の光に恐れをなした
僕たちが外に出ることはなくなった。