香道部の佐山くんに初めての恋をしました。
触れられたことすら心臓がバクバク言ってうるさいのに、こんなハグみたいな体勢……心臓が飛び出しちゃうんだけど。
「あぁ! ごめん」
「いや、全然大丈夫ですっ」
いやいや大丈夫じゃないけれども!ここは、こう言って離れなければ!
「ねぇねぇ、君たちいつまでイチャイチャしてるわけ? 俺が場違いみたいじゃないか」
「いっ、イチャイチャなんてしてませんっ! 今のは私が距離を間違えてしまっただけですので」
私がそう答えると、ははっと先輩は笑った。
「うん、そうだね。これに関しては距離が少し近かった俺と急に引っ張った佐山が悪いよ。ごめんね、星野ちゃん」
「いえ、来て早々すみません……」
私が頭を下げると「じゃあ、これ書いてくれる?」って言われて【体験入部参加者名】という紙を渡されたのだった。