香道部の佐山くんに初めての恋をしました。
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佐山くんに似た男性は、彼のお父様で佐山流香道家の現在の家元……名前を國宗さんと言うらしい。その男性に案内されて連れられてきたのは、さっきの部屋より大きい和室だった。
高田先輩が先頭で入り、その後に和服を着た知らない方が入り私とお母さんが順に入る。
その後ろには香元である國宗さんに佐山くんが入った。わけがわからない私とお母さんを高田先輩が座る場所を教えてくれて私たちは壁に向かってコの字に座る。だが、佐山くんは執筆という役割があるらしくて香元が座る本座と隣に座った。
「お香を始めます」
そう佐山くんのお父さんが挨拶をすると、隣に並んでいる人がお辞儀をしたので私もお辞儀をする。
そして、佐山くんは墨をすってから執筆を始める。その隣にいる彼のお父さんは道具を並べはじめた。