香道部の佐山くんに初めての恋をしました。
◇佐山くんが変?
遠足から数日経った翌週の水曜日。
「佐山くん、今日出るテストのここ教えてほしいんだけど……佐山くん?」
「……えっ、あ、うん。ここは」
なぜか、佐山くんがおかしい。どこがと言われたら分からないけど、ぼんやりしている。
「佐山くん、大丈夫? 体調、悪いの?」
「え、いや。悪くない……大丈夫。心配しないで」
何かしちゃったかなぁ……
「……何かしたかなぁ」
お昼休み、打ち合わせと練習がないという千咲ちゃんと久しぶりのお昼ご飯を一緒に過ごしていた。
「何かって何が? 意味がわからないんだけど」
「あのね、実は……佐山くんのことなの」
「佐山くん? 確かに少し、オドオドしているというか……そんな感じがするけど」
「だよね。佐山くん、普段と変わらず優しいんだけど話す時に目を合わせてくれなくて」
「目?」
私は「うん」とうなずいてお弁当の中にある卵焼きを一口サイズに切って口に入れた。