香道部の佐山くんに初めての恋をしました。



 ***


 それから、放課後。


「星野さん、和室行こう」


 目は合わないが、普通に声をかけられて一緒に部活へと向かう。確か今日の部活は茶道をするって言ってたな……


「あの、佐山くん」

「ん?」


 声をかけてもただ「ん」と言うだけで顔を見てはくれない。


「私、なんかしちゃったかな……何か無意識に何かしてしまったなら教えてほしい。ちゃんと、直すから」 

「……っ星野さんは悪くないから」

「悪くないって、どういうこと?」

「ごめん、それは、まだ言えない」

「……そっか。ごめんね、無理に聞いちゃって……私、先に、行くね」


 私はそれだけ言って彼と距離を取るように先に歩いた。色々な気持ちを誤魔化すように小走りをする。


「っ、ま、待って」

「……っ……」

「情けないんだけど自分でも、整理が出来てないんだ。だから、ちゃんと整理してから言う」

「ほんと……?」

「うん、絶対。今まで目をそらしてごめん。これからはちゃんと目を見て話すから」


 そう佐山くんは言うと「一緒に行こう」と言って隣に並んで一緒に歩き出した。




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