香道部の佐山くんに初めての恋をしました。
お抹茶を飲み、彼らがいう休憩をしてから私は佐山くんが持ってきてくれた本を見ていた。
「じゃあ……五月に咲くおそ桜をテーマにした組香。残花香。この証歌は覚えてる?」
「え、っと……金葉集に載っている藤原盛房さんが歌った歌で、夏山の青葉まじりのおそ桜、初花よりも珍らしいかな、で……意味は、春の最後の頃、夏山の青葉に混じって咲くおそい桜は初花よりも珍しいことだ、ですか?」
「……なんで疑問系なわけって思うんだけど正解だよ! 遠足に行く前は意味まで言えなかったのに」
「私も、頑張ったんです! ま、まぁ覚えたの少ないけど……」