クールな黒淵くんは甘い。
「黒淵くん!」
朝礼が終わった瞬間に、居ても立っても居られなくなって、黒淵くんのところに行った。
席に座り、いつもと同じ無表情の黒淵くん。元々誰もいなかった黒淵くんの席の隣には春華ちゃんがひょこりと座っていた。
「柚衣しばらく帰れなくなったから、ちゃんとドアと窓の鍵は閉めろよ。」
「し、しばらく帰れなくなったって、何……?」
「こいつと同棲するよう学園長に言われたんだよ。」
淡々と言う黒淵くんに、心が重くて苦しくなった。
黒淵くんは私のことなんてどうとも思っていない。
そんなことが今の一言から全て分かるように思えて、嫌だった。
「そ…そっか。荷物は……。」
「もう纏めた。」
ついには、しばらくっていつまでなの?なんてことは聞くことは出来なかった。
でも、私を見上げる春華ちゃんに私がそんな気持ちになっているのが知られるのは本当に嫌で、「あー、さすが黒淵くん!」なんて、笑顔で言うのがやっとだった。