クールな黒淵くんは甘い。


辺りはもう薄暗くなっていて、あと20分で花火が始まるところだった。

あの後、春華ちゃんは冷くんが心配するといけないからと言って、足早に去っていき、アキちゃんも、やっと彼氏くんがフリーになったらしく、今は二人で満喫している所だろう。

そして私は…。



「まあまあ。元気出せよ。結衣。ほらたこ焼きやるよ〜。」



峡為くんと一緒にいた。
たまたまアキと別れて一人でぶらぶらしているときに、後ろから話しかけられた。と思ったら彼氏だった。

彼も今日は青い着物に身を包んでいた。
 
一応イケメンなのがなぁ……。



「で、お前黒淵には告白しないの?」


「うん。負け確定だし。」


二人で草むらに座る。自分で言ってるのに、切なくなってきた。

  
「お前ってなんで黒淵のこと好きなの?」

峡為くんがたこ焼きを頬張りながら聞いてくる。


「それは……。」


一年前。彼と初めて出会ったときからだった。

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