クールな黒淵くんは甘い。
「いやーよかった良かった。早く起きてくれて。」
「峡為くん……?」
座らされた状態で後ろ手で縛られていた。ここは…、峡為くんに案内されて着いた場所、屋上の物入れだった。
あの扉の先は物入れだったんだ。
「峡為くん…。何のつもり?」
「別に酷いことしようってわけじゃない。俺は君を有効活用しようと思っただけで。」
ゆうこうかつよう?ご機嫌に身振り手振りをする彼を睨みつける。
「そ。ゆうこーかつよー。結衣ちゃんが告白してもきっと振られよ。そして春華が付き合う。そんなことになるぐらいならさ…春華のこと潰しちゃおうよ?」
「何言っるの……?」
「俺は君の力になってあげたいの。だって俺は……」
そこまで言ってこちらに近づいてくる。図書室の時みたいに。そして私に腕を回して、耳元でこう言った。
「俺は結衣が好きだから。」
聞いたことない甘い声に寒気がした。
私が好き……。力になりたい……?でも、
「嘘だ。」
「は?」
「峡為くん、私のこと別に好きでもなんともないでしょ。」