クールな黒淵くんは甘い。


きっぱりそう言うと、彼は私を離して、びっくりした顔で私を見ていた。



「私じゃなくて、春華ちゃんのこと好きなんじゃないの?」



彼はいつも、図書室で私が春華ちゃんの話をする時、優しい顔をしていた。

私が春華ちゃんと黒淵くんは付き合わなそうと言った時、すごく安心した顔をしていた。

黒淵くんが手を繋いでたのあの表情、どこかでみたことあったなと思ったら、峡為くんだったんだ。 



峡為くんはふっと笑って、「ばれちゃったか〜」なんて呑気に言った。




「さすが、君も任侠学院の生徒なだけあるんだね。びっくりしちゃった。


「任侠を重んじてないのは峡為くんの方でしょ。」



はは、たしかになんて、彼は私と正面に胡座をかいて座って言う。



「そうだよ。俺は、春華のことが好き。で、雷鳴団の総長だ。」


「え……?」



ら、雷鳴団て…、SSSも総長を探すのに手を焼いていた、任侠学院の最大の族とも言われる、あの…?

< 36 / 53 >

この作品をシェア

pagetop