クールな黒淵くんは甘い。
「あ、総長と姐さんお帰りなさい。今回もご無事でなによりです。今お茶準備しますね。」
「ありがとう悠馬《ゆうま》くん。でも私、姐さんじゃナイデス。」
この学園はスーツか着物しかダメなので、悠馬くんも黒淵くんも、主に男の子は皆んなスーツ。夏と学園祭だけは好きな浴衣が選べる。
黒淵は私を生徒会室まで持っていくと、雑にソファに下ろした。その隣に黒瀬くんはどがっと腰をかける。
あの…もうそろそろ解いてほしいんですけてけど…。
出迎えてくれた一年生にして我が校の生徒会書記の悠馬くんはその状況を見てニコニコしながらも労いの言葉をかけてくれた。
いや、ツッコんでほしい。
「もう姐さんでいいんじゃないんですか?」
「私達付き合ってないんですよ。」
そしてこのやり取りは悠馬くんと何度したことか。黒瀬くんは特に反応することなく、悠馬くんは出したお茶を飲む。
よいしょと悠馬くんが私とは反対の方にソファに腰をかける。
「んで、何回目でしたっけ?」
「……今回で36回目になります。」
「ははっ。それだけ巻き込まれるって逆にすごいですよね。ここが『任侠学院』だからてのもあると思いますけど、そこまでくればもう達人っすよ。」
「返す言葉がありません……。」