クールな黒淵くんは甘い。
「しかし、学園長からの指示で2人の同棲が始まってから、めっきり減ったと思ったんですけどね……。今回の誘拐の原因はなんだったんですか?」
「私が族が武器持ち込んでる現場みちゃって……。」
「ありゃ、それはさすがに防げないや。」
そう、私はあまりにも巻き込まれるせいで、3ヶ月前に学園長から黒淵くんとの学園内の寮での『同棲』の指示が出された。
そのときの学園長での黒淵くんの顔の「まじか」みたいな顔は一生忘れない。そんな顔できたんだというのと、すごく申し訳ないとあの時は思った。
それまで黙っていた黒淵が口を開いた。
「だいたい巻き込まれ体質もこいつがアホすぎるせいだろ。うろちょろし過ぎなんだよ。」
「すいません……。」
「少しは大人しくできねぇのよ。アホ。」
「まあまあ総長、そんな責めなくても…。」
「……SSSの仕事が増えるから言ってる。」
持ち前の鋭い視線を向け、厳しい言葉を投げかけてくる黒淵くん。何も言い返せすことができなくて俯いた。
たしかに私がアホでバカなのが原因なのかもしれない……。
はあとため息を付くとソファから立ち上がり、ネクタイを整えた。
「あれ、総長もう行くんですか?」
「俺はこいつの世話だけが仕事じゃないんでな。世話すんのは"学園全体"をだ。そのために親父からSSSの総長を任された。」
そういうと黒淵くんは生徒会から出て行った。
…去り際に前髪からのぞく冷たい目と合った。
「総長はああ言ってますけど、気にしなくていいですからね。」
「うん……ありがとう。」
慰めるように言ってくれる悠馬くんに私はそう言うしかできなかった。
やっぱり、私がアホだから黒淵くんや学園の迷惑になる…。
「あとごめん。この腕と足の紐解いてもらって良い?」
「…もういっそそのままの方が巻き込まれないのではないでしょうか。」
………いやそれは解せぬ。