笑わぬ聖女の結婚~私の笑顔を見たいがあまり、旦那さまがヤンデレ化しています~
序章
<序章>
エスファーン城侍女による証言。
「えーっと、アリッサさまの第一印象ですか? それはその……ここだけの話ですが、不気味のひと言でしたね」
女職場ゆえにコミュ力が必須な侍女という人種は、おしゃべりなのが常だ。彼女もペラペラと饒舌に語り出す。
「蝋人形みたいなんです! なにを話しても全然表情が変わらなくて。あ、言葉がわからないわけじゃないんですよ。でも、とにかく無口無表情で。一度なんて、私うっかりアリッサさまの手元に熱湯をこぼしてしまったことがあるんです。それでも、顔色ひとつ変えなかったんですから」
とはいえ、派手なやらかしを不問にしてくれたことには感謝しているらしい。
「そうですね。不気味ですけど、そこをのぞけばいい主です。癇癪を起こさないし、無茶な命令もありません。う~ん、リシャールさまとお似合いかと問われれば首をかしげるところはありますが。だって、リシャールさまは大天使の化身のようなお方ですから!」
エルファーン領主、リシャールの側近中の側近による証言。
「月光をたたえたようなプラチナブロンドにサファイアの瞳。まぁ、王国一の美丈夫です、それは間違いない。軍事も政治も百年に一人と言われる優秀さですね。え?性格? それはもう! 穏やかな紳士で誰に対しても親切ですよ。大天使の化身と言われているのも納得の……」
彼はそこでグッと声をひそめ、聞こえるかわからなぬほどの声でぼやいた。
「外面のよさです」
エスファーン城侍女による証言。
「えーっと、アリッサさまの第一印象ですか? それはその……ここだけの話ですが、不気味のひと言でしたね」
女職場ゆえにコミュ力が必須な侍女という人種は、おしゃべりなのが常だ。彼女もペラペラと饒舌に語り出す。
「蝋人形みたいなんです! なにを話しても全然表情が変わらなくて。あ、言葉がわからないわけじゃないんですよ。でも、とにかく無口無表情で。一度なんて、私うっかりアリッサさまの手元に熱湯をこぼしてしまったことがあるんです。それでも、顔色ひとつ変えなかったんですから」
とはいえ、派手なやらかしを不問にしてくれたことには感謝しているらしい。
「そうですね。不気味ですけど、そこをのぞけばいい主です。癇癪を起こさないし、無茶な命令もありません。う~ん、リシャールさまとお似合いかと問われれば首をかしげるところはありますが。だって、リシャールさまは大天使の化身のようなお方ですから!」
エルファーン領主、リシャールの側近中の側近による証言。
「月光をたたえたようなプラチナブロンドにサファイアの瞳。まぁ、王国一の美丈夫です、それは間違いない。軍事も政治も百年に一人と言われる優秀さですね。え?性格? それはもう! 穏やかな紳士で誰に対しても親切ですよ。大天使の化身と言われているのも納得の……」
彼はそこでグッと声をひそめ、聞こえるかわからなぬほどの声でぼやいた。
「外面のよさです」
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