同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 「すみません。紀子への里崎さんの気持ちを疑ったことはなかったんですけど、課長の話を聞いているとそう聞こえるでしょ?」
 
 「問題はその後だよ。篠田は職種転換して今の営業職になり、成績をみるみる上げて会社初の女性課長になった。会社としてもいいアピールになる。この会社は職種転換や女性の出世もしやすいとリクルーターに宣伝できる。まあ、ウインウインってとこだな」
 
 「でも相当努力されたということですよね。すごい努力家なんですね」
 
 「そう。勝ち気で仕事も事務のときから出来る奴だった。いいたかないが、そういうとこがちょっとお前に似てる」
 
 「……」
 
 私は下を向いて、里崎さんの言葉の意味を考えはじめた。
 
 「あいつはおそらく、東京へいずれ来るだろう。そして、大和をターゲットにしたなら東京へ一緒に異動できないか考えるはずだ。今度は付き合っても転勤を理由に別れたりできないようにね」

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