同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「大和を失ったときの自分を考えたことあるのか?俺は紀子を失えないと思ったからプロポーズした。お前も少しは考えろ」
 
 「失うことなんて考えたくない。ありがとうございました。とにかく、行ってみます。抜き打ち検査です」
 
 私は顔を上げてにやりと里崎さんに笑いかけた。
 
 「そうだな……そうしろ。仕事は課長のだけ出来る範囲でやっていけ。俺のは気にしなくてもいい。最悪自分でも出来る。無理なら紀子に頼むよ」
 
 「ありがとうございます。里崎さん、いい人ですね」
 
 「知らなかったのか?お前なんだかんだ言って、男のこと大和以外眼中にないだろ。残念だったな、いい男の俺はすでに既婚者だ」
 
 茶目っ気のある瞳で私を見つめて笑う。

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