同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「いや、だから今日は悪いが俺は出られないんで。美紀さんが行って下さい」
 
 「え?明日も無理です。ちょっと知り合いが大阪に急に来たので、案内しないといけないんです」
 
 「……そうです。だからわかってるんなら、そういうこと言わないで下さい。半年ぶりに会えたんです」

 半年ぶりってもしかして……私のこと話してる?

 美紀さんって。篠田さんのことでしょ?名前で呼んでるんだ……。

 いつの間にか、扉の前で立ち尽くし聞き耳を立てていたことにも気づいていなかった。

 音がしないと思ったら、ドアがいきなり開いた。

 「わっ!」
 
 私が後ろへ蹈鞴を踏むと、彼がびっくりして腕をのばした。
 
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