同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 ふたりは黙っていた。

 「吉崎。辛いだろうが、早急に逃げるような考えはだめだぞ。あいつは絶対にお前が好きだ。俺は話すたびにそう思ってる。ただ、今は篠田の病気のこともあって、ひとりで仕事を回してる。大変なんだと思う。もう少し待ってやれないか?もしかして、課長がお前に言い寄ってきてるとかないか?最近目に余ることも増えている。大和と篠田のことを利用しようとしてるんじゃないか?」

 確かに、それもある。
 この間、はじめて課長とふたりで飲みに行った。
 
 帰り際、つらかったら俺に寄りかかれと言われた。
 助けてやると……。
 
 私やっぱり寂しすぎておかしくなってる。
 前なら絶対断ってた。
 
 夏休みのはなしを聞かれた頃から、どこか心の鍵が壊れて、すがるモノが欲しくなっている。
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