同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
そして、夜の便で彼は大阪に帰っていった。
玄関で帰る直前に振り向いた彼は私に言った。
「紗良。誕生日プレゼントに持ってきた指輪がある。渡したらお前に怒られそうだけど、どうする?」
「ごめんね。嬉しいけど受け取らない。毎日指輪を見て大和を思いながら、我慢して泣いて暮らす毎日はもう嫌なの」
「我慢か。ごめんな、紗良。誕生日おめでとう。今年こそ笑顔が絶えない一年にしてくれ。それと、これからは同期だから、仕事で電話しても普通にしてくれよ」
「もちろんだよ。田村君。これからもよろしくね」
「……想像以上に堪えるな。他人みたいだ」