同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 嗚咽を漏らしはじめた彼女を、抱きしめる気にはなれなかった。

 「俺が側にいるとあなたは良くならない。部長は俺を東京へ戻す時期を予定より半年早めてくれた。罪滅ぼしだと言っていたが。美紀さんのその後も心配なんで、今日はこの後美紀さんと仲のいい同期の山川さんに来てもらうことになってる」
 
 「……勝手なことしないでっ!」

 「今日のことは部長も知ってる。山川さんが今日は一緒にいてくれるから……。状態を見て今後どうするか、あとで部長とも話してもらうよ」
 
 「結局……大和も私を捨てて行くのね」

 「捨てる?最初から捨てるならここまでしないよ。俺が大阪で成績を上げられたのもあなたのお陰だ。感謝してる。だけど、恩返しにしてはやりすぎた。あなたは俺の最も大切な人を傷つけ、遠ざけた」

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