同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 
 「一時期勘違いしていた……大和とはもう付き合っているも同然だと思っていて……でも絶対何をしても応えてくれない。恋人になってくれない。それでおかしくなった。そんな時セクハラされた。すがる場所がないの。あなたがいなくなったら私本当におかしくなる。自分でもわかるの」

 「椎名課長も罪な人だな。あなたを変えた原因の人に向き合えばいい。俺はようやく本来のところに戻って、取り戻さなくてはならない人がいる」

 玄関のベルが鳴った。インターフォンを覗くと、山川さんがいた。

 「開けないで。話がまだ途中よ」

 「上がってきて下さい」

 インターフォンで告げる。
 エントランスからここまで来るのに五分もかからないだろう。
 この部屋にあるものはまとめて袋に入れてある。荷物をバッグに入れて手に持った。

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