同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「美紀。辛かったね。私が一緒にいてあげるから、田村君を帰してあげよう」
 
 「いや、絶対いや」
 
 身体を振る彼女を山川さんがおさえながら、目で出て行けといってくれている。
 俺は振り返らず、ドアを閉めた。
 
 椎名課長は俺が出てくる前に異動してきて、よく知っている。
 その時は目標にするべき人だと思っていた。
 それくらい完璧だった。

 私生活のはなしをするほど親しくなっていなかったのもあり、まさか彼女とそういう関係で、そういう別れがあったなんて思いもしなかった。

 里崎さんとは異動後も連絡を取り合っていた。
 ずっと、美紀さんのことを黙っていたことを謝られた。

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