同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「帰さない。話があるって言っただろ」
 
 「……」
 
 「英嗣様。とにかく一旦お休み下さい。お嬢さんはこちらでお休み頂きますので。この時間にあそこの折り詰めをお持ちになって帰ってこられたということはお食事もされておられませんよね」
 
 「はい。お店から具合が悪そうだったので食べる前に帰ってきてしまったんです」
 
 「でしたら、何か軽く作りますから、一緒に折り詰め召し上がって下さい。英嗣様はおかゆですね。お薬も」
 
 いつの間に体温計を仕込んでおいたのか、ピピピと音がしてる。すごい。
 お手伝いさんが体温計を奪って見ている。ため息。
 
 「三十八度二分ですよ」
 
 そう言って、私の方を見て出ましょうと促した。
 
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