同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「あ、あの。あなたは?」
 
 「あ、ごめんなさい。私は英嗣様のお小さい頃からこの椎名家でお手伝いをさせて頂いております。小山です」

 やっぱりなんか、もしかして課長ってすごい家のお坊ちゃんなんだよね、きっと。
 私の顔を見て、小山さんは笑っている。

 「まあ、とにかく食べましょう。私も頂いちゃおうかしら。今日はここへ行くと聞いていたので、作っていないんです。いつも、お土産をもらってきてくれるの。楽しみにしていて。女将も知っているのでね」

 小山さんは折り詰めを物色し、あったあったと取り出した。
 
 「この厚揚げの煮たものが本当に美味しくて大好きなの。必ず入れて持たせて下さるのよ。英嗣様も荷物になるのに持ってきて下さるからあてにしてるの」
 
 ニヤッと笑う小山さん。
 
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