同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
 「吉崎……お前のことプライベートも含めて俺だけのものにしたい。俺と付き合ってくれ。誰か他に好きな奴とかいるのか?」

 「……ねえ、聞く順番が違ってない?まず、好きな人がいるか聞いてから告白するのが普通だと思う。逆になってるよ」

 「うるさい。お前こんな時も俺にチャチャ入れるのかよ。で、どうなんだよ」

 「好きな人は……たぶん……いる」

 「は?誰だそれ?……相手によっては戦うぞ」

 「それはね、田村かもしれない。最近そうかなって思ってた」

 「は?お前、俺が好きって言ってんの?」

 「だから、最近そうかもしれないって思ってたの。だって、こんなに料理を作りに行ってるって、お母さんじゃあるまいしって自分でも思っていて。美味しいって言って私を見るあんたの目。営業がとれたって喜んで私に報告するあんたの目。今みたいに、大丈夫かって聞いてくれるあんたの目。全部好きかも知れないって最近気づいたんだ……」

 大和は手で顔を覆いながら赤くなってる。
 
 「はー。お前、結構簡単にすごい殺し文句口にするんだな。……そうか、俺が好きか。なら覚悟しろよ。今度は俺の番だ。ドロドロになるまでお前を甘やかして縛り付けてやる」

 そう言うと、私を抱き寄せた。
 そっと、顎をつかんでキスをした。
 誰が来るかも知れないのに……軽いキスだったけど。幸せだった。

 「よし、レストランはどうする?」
 
 「……行くっ!」
 
 「そんなんで、食えるのかよ?」
 
 「ここで少し寝たから大丈夫」
 
 「ぷっ……お前らしいな、よし行くぞ」

 そう言うと、私を抱き起こし再度キスをした。
 
 ほこりっぽいキス。
 今でも忘れられないキスだった。
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