同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
里崎は紀子から子供を受け取ると鼻先で話しかける。
「卓は、こんな馬鹿になるなよ〜」
大和は笑う。
「そうなんだよ、俺すぐ信じちゃう。紗良が待ってくれるという言葉も信じてたから……まさか、別れたいなんて言われるとは思ってなかったし……」
「おい、大和、お、おまえ……」
トイレに寄ってから遅れて入ってきた紗良は、黙って大和が座るボックス席の真後ろに見える通路で歩みを止めた。
くるりと入り口の方へ回れ右をして、去っていく。
「あ、紗良!」
紀子が見つけて立ち上がる。