同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり

 「ちょっと来い」
 
 大和は私の腕をつかむと、部屋を出て行く。
 打ち合わせ室を使用中にして、私の背中を押すとドアを閉めて鍵をした。

 私は大和をじっと睨んでいた。
 
 「紗良。すまん。頭に血が上って嫉妬した」
 
 「……」
 
 私は反動で涙が出てきた。
 
 「おい、おい……紗良……ごめん、ごめん泣くなよ」
 
 そう言って、私を抱き寄せると頭を撫でて背中をさすり、なだめ出した。
 彼のワイシャツが濡れてしまう。
 
 
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