同期恋愛は山あり谷あり溺愛あり
私は、離れようとした。
それに気付いた彼が、ハンカチを出して顔を拭いてくれた。
「紗良。転籍前に婚約しよう。お前のご両親へ挨拶して、きちんとしよう。指輪してくれ。そうじゃないと俺……」
泣いている私の顔を両手で挟み目をのぞき込む。
「お前をきちんと俺のものだとわかるようにしたい。いいだろ?」
鼻をすする私を見て、ため息をついている。
「……わかった。婚約する。挨拶行く」
大和は喜んでまた私を抱きしめた。
「ありがとう、紗良。子供みたいだけどさ。あの本部長には持ってるスペックが敵わないんだよ。俺勝てない……」
私は笑った。